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「ん……、あぁ、ごく……」
「さんぞ、気持ちイイ? すっげー感じてるみたい」
煌々と灯りの点いた一室で、悟空は三蔵の身体を大きく開いて、自分を受け入れてくれる蕾を一心に愛撫していた。
濡れた音が部屋中に響いて、三蔵は羞恥のあまり唇をぎゅっと噛み締める。悟空の骨太の三本の指がそろそろと内壁を撫でた。その感触に三蔵の唇からは、日頃の彼からは想像もできない程の甘い喘ぎ声が零れる。
灯りをつけたまま悟空に抱かれる、というのは三蔵にとって初めての経験だ。「見られている」という意識が、いつも以上に三蔵の身体を敏感にする。いつもならばこんなに明るい中で、己の痴態を悟空に曝す事を頑なに拒む三蔵ではあるが、今回は悟空の、『俺、死んじゃうかもしれねーんだよ?』攻撃に、反撃する事が出来ない。
(こいつ、判ってやってんじゃねーか?)
そこまで考える脳みそがあるとも思えぬ自分の馬鹿猿だが、悟空のこの上目遣いの『おねだりモード』や、打ちひしがれた目に実は弱い事は、ムカツクが三蔵自身自覚している。このままいけば、今日は悟空の要求をどれだけ聞く羽目になるのだろう。
「さんぞ、何考えてんの? 俺の事意外、考えちゃイヤだよ」
「ひっ、あぁぁ!!」
悟空の愛撫に流されまいと、何とか意識を他のところに持っていこうとしていた三蔵だったが、病でふーふー唸っていた筈のお猿はそれを許そうとはせず、三蔵の蕾に含ませた己の指で、ぐるりっと乱暴に内部を掻き回す。その指先が三蔵のポイントを掠め、三蔵は大きく白い肢体を仰け反らせて嬌声を上げた。その艶かしさが悟空を更に煽り、その熱は三蔵を求めて今にも爆発しそうふだ。
「さんぞ、もういい? さんぞが、欲しいよ」
欲情しきった金瞳が、三蔵の紫暗の瞳を射る。
「……勝手に、しろ」
弾んだ息を何とか整えながら、ふぃっとそっぽを向いて小さく応える。三蔵自身、もう限界が近い。と、突然小猿が、大型爆弾を三蔵の上に直撃させた。
「さんぞから、求めて?」
「……な、に?」
「たまには、さんぞから求めて欲しいよぉ」
……つまり、その……。
悟空が言わんとした事に気付いた三蔵は、ぼんっと耳まで真っ赤に染めて猛然と悟空の下で抵抗を始めた。
「ざけんじゃねえ、この馬鹿猿っ! なんで俺がンな事を……!」
「……ダメ?」
再び悟空の金瞳が、うるるっと潤んだかと思うとボトボトと大粒の涙が零れる。
「……」
「だって、いっつも俺ばっかが、さんぞを求めてるみてーで。何か無理矢理、さんぞの事抱いてるみてーで」
「……猿」
「うん、さんぞがホントにイヤなら、俺の舌噛み切ってでも抱かせないって事は、わかってるけど。……でもぉ……」
くしゃり、と顔を歪める悟空の情けない顔に、三蔵は深いため息をついた。今日はどうあっても、こいつのワガママを叶えてやるしかないようだ。
「……仕方、ねぇな」
「えっ?」
「今回だけだぞっ!」
「うん、うん! さんぞ、大好き」
幼げなまあるい頬を涙でぐちゃぐちゃに汚した悟空は、くしゃっと相好を崩す。
そんな邪気のない笑顔に、三蔵は本日何度目かのため息を吐き出すと、疼く身体を無理矢理起こして、ごろん、と寝転がった悟空の腰を跨ぐようにして膝で立った。そんな些細な動作さえ、絶頂間近の三蔵の身体には大きな刺激となる。「んっ」
「さんぞ、大丈夫か?」
「心配する気があんなら、やらせるんじゃ、ねーよ」
苦しげに喘ぎながら、途切れ途切れに呟く三蔵に申し訳なさそうな顔をしながらも、それでも悟空の手は悪戯っぽく三蔵の細い腰をするり、と一撫でする。
「んっ、てめっ!」
びくっ、と大きく上体を震わせると、三蔵はがくっと両手を悟空の腹について崩れそうになる体を支えた。
「ふざけんなら、もうしねぇかんな!」
「あ、もうしねえよっ! だから、な?」
何が「な?」だ、と思いつつも、結局のところ悟空に甘い三蔵は大きく息を吸って乱れた呼吸を整える。そして三蔵の細腰を両手で掴んだ悟空に導かれるまま、そろそろと自分を求めて猛り狂う悟空自身を受け入れようと腰を下ろす。
「あ……んっ!」
初めてこの体勢で悟空を受け入れる三蔵は、息詰まるような圧迫感に喘ぐように酸素を求めながら、ゆっくりと少しずつ身体を沈めていく。そんな三蔵の腰を支える悟空の大きな手が、やけに頼もしく感じてしまうのがムカツイて仕方ないが。「ぅ……んっ」
熱い悟空の肉塊が、三蔵の秘肉を割って侵入する。美眉をきゅっと寄せて、薄く唇を開きながらどこか恍惚とした表情で天を仰ぐような三蔵の媚態は、まるで魔性の者のような妖しさだ。ごくり、と悟空の喉が大きく鳴る。
「さんぞ、きれい。すっげーきれい」
悟空の在り来たりな、そして心からの賞賛も、悟空を受け入れる事に集中しようとしている三蔵の耳には入らないようだ。細く息を吐き出しながら、悟空をゆっくりと呑み込んでいく。ようやく全てを己の身のうちに納めた三蔵は、それだけで力尽きたようにガックリ、と悟空の腹に倒れ込む。
「あ、危ねぇ!」
「ひっ!」
悟空をきつく締め付けたまま倒れ込んだ事が災いして、熱い肉塊が三蔵の奥を容赦なく貫く。その衝撃に耐えきれず、三蔵は甲高い悲鳴を上げて身を捩った。
「さんぞ、落ち着いて。ゆっくり、息吐いて、ね?」
悟空自身食い千切られそうな三蔵の締め付けに今にも達しそうだが、苦しげに紫暗の瞳に涙を浮かべて喘ぐ三蔵の背中を殊更優しく撫でながら、愛しい人の身体が馴染むのを辛抱強く待つ。
「……ん」
やがて悟空を包み込む内壁が、誘い込むような動きを見せ始める。交わった一点から、じわじわと沸き上がる熱で思考まで溶けてしまいそうだ。
「ご…くぅ」
悟空の腹の上に蹲ったままの姿勢で、三蔵が濡れた視線を自分の猿に向ける。
「も……」
じっとしたままの生殺しに与えられる快楽に、三蔵の精神は焼き切られそうだ。
「も、これ以上は、てめぇのワガママ、聞かねぇ、ぞ」
流石に『自分で動いて』なんて言ってきたら、容赦なく蹴りの四、五発をお見舞いしてやる気でいたが。三蔵の気性を考えて、悟空もそこまで望む気はないらしい。
「ん、わかった。ありがと、さんぞ」
悟空は優しく三蔵の顔を両手で包み込むと、紅潮した頬に幾筋もの涙の跡を残す愛しい人の額に、ちゅっと音を立ててくちづける。そして三蔵の身体に無用な刺激を与えないようにと、ゆっくりと彼の上体を己の両手で支え自分の腹に三蔵の両手を置かせた。ワガママを聞いてくれた愛する人の渇望を、己の身体で満たしてあげるために。
「あ……あぁ、ん……」
緩い突き上げに、三蔵は形のよい眉を顰め、切なげに鳴く。誰よりも白い肌を薄紅色に染めて、己の腹の上で身を捩って快楽を貪る姿は卑猥さを少しも感じさせず、むしろ気高さに溢れていて、悟空はうっとりとその痴態に見入ってしまう。「ご、くぅ……」
三蔵が潤んだ紫暗の瞳を薄っすらと開けて、悟空に向ける。
「ん、なに?」
三蔵の腰を支えていた片方の手をそっと離すと、悟空は三蔵の薄い胸にあって一際その存在を誇示している、つんと尖った赤い突起をきゅっと指で摘んだ。
「あぁぁっ!」
その途端、三蔵は細い身体を弓なりに反らして、激しく喘いだ。飛び散る汗が、照明に反射してキラキラ光る。突起を強く愛撫された刺激に、蕾がきゅっとキツク悟空を締め上げた。
「……っ!」
「くっ!」
襲い掛かる激しい刺激に、悟空と三蔵はお互い息を詰めて耐える。どうにか絶頂をやり過ごした悟空は、自分の身体の下で切なげに喘ぐ三蔵の瞳に餓えの色を見つけ、つい愛する人の顔をまじまじとみつめて問い掛けてしまった。
「さんぞ、もしかして、足りない?」
「ばっ……!」
悟空のあからさまな言い様に、三蔵は羞恥で頬を真っ赤に染めて絶句するが、実際軽く突き上げるだけのゆるやかな行為に、三蔵の身体は堪らない餓えを感じていた。
もっと、もっと。激しく求めて欲しい。何も考えられなくなる程に、ただ悟空だけに心も身体も埋め尽くされるような、あの瞬間が欲しいと。
年上とか、飼い主とか。そんな意地を忘れて、無心に悟空だけを求める事ができるあの瞬間が。
しかしそんな事を素直に口に出来る三蔵ではない。むしろずばり自分の本心を言い当てられた恥ずかしさに身の置き所がなく、疼く身体を必死で捩りながら悟空の下から逃れようとする。
そんな三蔵の気持ちが通じたのか、悟空は愛しい人の身体をそっと抱き締めると、柔らかい耳朶を甘噛みしながら優しく囁いた。
「うん、ごめんね。足りないのは、俺の方なの。だから、もっといい?」
求めているのは自分の方なのだと。三蔵は仕方なく付き合ってくれているのだと。
下手に出てくる自分の猿に、大人げないのは自分のような気がして、三蔵は一瞬むっと不機嫌そうに眉間に皺を寄せたが。けれど本音は、もうどうしようもなく悟空が欲しくて。このままでは、自分から激しく腰を動かして悟空を求めてしまいそうだ。だが、三蔵の天よりも高いプライドが、それを許さない。だからあえて悟空の『お願い』に仕方なく応えてやるのだ、と言わんばかりに「ふんっ」と少々尊大に頷いてやる。
その『お願い』に応えてやった事を、三蔵は翌朝死ぬ程後悔する事になるとは、この時想像すらしなかったのだが……。
「……痛ぇ……」
汗と精で汚れたシーツに身体を沈めたまま、三蔵はぼそり、と小さく呟いた。その、蚊の鳴くようなか細く掠れた声を耳聡くキャッチした悟空は、ベッドの上に胡座をかいたままの姿で「えへへ」と、と頭を掻きながら照れ臭そうに舌を出した。
「えへへ、じゃねぇよ。どこのどいつだ。今朝には死ぬとか喚いていた野郎は」
「だってー、さんぞ抱いてたら、なんか元気になっちゃったんだもん」
「やっぱ、さんぞは俺の元気の元だよな」
と、脂下がった顔ででへでへと惚気る猿の姿を、三蔵はマジに眩暈を覚えた。
あれから明け方まで結局三蔵は、一睡もさせてもらえなかった。限界を超えるまで悟空に貪られて、喘ぎ、泣き過ぎて声はガラガラ。下半身など感覚はまったくない。今でもほんの少しでも身動ぎすると、身体がぎしぎしとまるでオイルの切れた機械のような音をたてて軋む。過ぎた疲労に瞼は今にも落ちそうだ。
その猿頭をハリセンでぶっ飛ばしたいのはやまやまだが、この状態ではハリセンはおろか、箸を持つことすら不可能だろう。
これも全ては悟空を甘やかした結果だと、三蔵は「今後二度と猿は甘やかさんっ」と心の中で握り拳を作って無駄な決意を固めてみる。
そんな三蔵を前に懲りない猿は、悟空の愛を受けて更にしっとりと木目の細かくなった観のある最愛の人の肌を堪能しようと、すりすりと己の頬を三蔵の胸に擦りつける。と、悟空の柔らかい髪が、一晩中悪戯な指と唇によって愛撫され敏感になった胸の突起を軽くかすめた。
「んぁ……っ!」
まだ赤く熟れた胸の実は酷く敏感で、思わず三蔵は鼻から抜けるような甘い声を漏らしてしまう。
「……さんぞ」
そのあまりの色っぽさに、悟空の喉がごくり、と鳴る。若い身体は愛しい人の何気ない仕草や声にさえ、簡単に火が点いてしまうのだ。
しかし不可抗力とはいえ、己の口から零れてしまった声のあまりの甘さと艶に、三蔵はこれ以上ない程顔を真っ赤に染めて、ぎんっと不埒な自分の猿をねめつけた。
「てめ、もうヤらせねーぞ」
「えー、そんな―――っ!」
「そんな、じゃねえよ! 昨日あれだけヤっただろーが!」
「さんぞ相手なら、俺際限なしだもん!」
「ンな事胸張って言うんじゃねえ! 俺はてめーみてぇな体力馬鹿じゃねえんだ! これ以上ヤったら、死んじまうだろーが!」
「……う、で、でも」
なんとか上目使いに飼い主のご機嫌を取ろうとする悟空に、流石に今回は三蔵も甘い顔はしない。冷ややかな視線を悟空に向けると、眉間の皺を三本程増やして蔑んだような声音で小猿に問い質す。
「それとも何か? てめーは、俺の身体がどうなろうと、てめーの欲望さえ満足できれば、それでいいってのか?」
「そんな! 俺、さんぞが世界中で一番大切なんだよっ? そりゃ、夕べは無茶させちゃったけど。でもそれは、さんぞがあんまり綺麗だったから。だから、俺歯止め利かなくて……。でも、でも本当に、さんぞの事が何よりも一番なんだよっ!」
唾を飛ばして絶叫すると、悟空は思わずぐったりと横になったままの三蔵の身体を無理矢理起こして、ぎゅうぎゅうと渾身の力で抱き締めながら言い募る。行き過ぎた欲望に己の愛情を疑われたと思った悟空は、滝のような涙をだーだーと流して半狂乱だ。
「ほんとに、ほんとに、俺……っ」
「ごくっ、痛ぇ! 手ぇ離せ!」
それでなくとも痛む身体を手加減なく力一杯抱き締められて、三蔵が甲高い悲鳴を上げた。その声にはっと我に返ったお猿は、慌てて力を緩めると壊れ物を扱うようにそっと愛しい人の華奢な身体を再びベッドに横たえる。
「この馬鹿力が……」
「う……ごめんなさい」
考えなしの己の所業に、きゅーんと見えない耳と尻尾を垂れて反省の気持ちを示す猿に、三蔵はふぅっと深いため息をつくと、重い腕を持ち上げて悟空の耳を掴んでぎゅっと引っ張った。
「痛っ! さんぞ、痛ぇよっ!」
容赦無い飼い主の報復に、小猿はきゃんきゃんと泣きながらも反撃はせず、三蔵からのお仕置きを甘んじて受け入れる。思わぬ病で気弱になったとはいえ、三蔵にワガママ言い放題、無茶し放題だったという自覚はそれなりにあるらしい。日頃の三蔵の横暴振りを考えれば、これくらい目を瞑ってやってもいいのでは、と外野は思うだろうが。どこまでも三蔵大事のお猿は、これは自分の非、と思っているようだ。
そんな従順なペットに満足の笑みを薄く口元に浮かべると、三蔵はその白い指から悟空の耳を開放してやる。
「いいか。今日は一日、てめーは俺の命令には絶対服従だ」
「う、うん」
今日に限らず、悟空はいつも三蔵の命令には絶対服従なのでは、と問い掛ける人間は効果不幸かここにはいない。
「まずは、風呂に湯を溜めろ」
「うん、それから?」
「俺は起きれねーから、朝飯をここに配んでこい」
ただし八戒に何を聞かれても、余計な事を喋るんじゃねーぞ、と一応の釘は刺しておく。どうせ悟空の看病疲れ、なんて陳腐な言い訳を信じる八戒でもないだろうけど。
「うん、うん。それから?」
「……そうだな、エロ河童をぶっ飛ばしてこい。もとはといえば、ヤツが全ての元凶だ」
「うん。手加減無しでいい?」
「気の済むまでやってこい。俺が許す」
八戒には殺すな、と言われていた気もするが、まあ構わん。どうせゴキブリ並の生命力だ、そう簡単には死しはせんだろう、と三蔵はひとりごちる。
「うん、うん。あと他にやって欲しい事はっ?」
三蔵の役に立てるのが心底嬉しいらしく、これではお仕置きにはならないのでは? と思いたくなる程の笑みを顔いっぱいに浮べる悟空を前に、三蔵の口元に微かな苦笑が浮かぶ。
「さんぞ?」
きょとん、と大きな望月の瞳で見つめてくるお猿に、夕べ自分を翻弄した『雄』の面影はどこにもない。まだまだガキの悟空。だけど、自分を包み込むその腕は、どこまでも大きくて温かい悟空。
疲れた時、病んだ時。そのぬくもりは何よりも自分の心に癒しを与えてくれる。そして今、悟空に貪り尽くされた身体はこんなに休息を求めていて。
「他に、やる事は?」
だから、ついぽろっと零れてしまった。
「……今日は、寒ぃ」
だから何なんだ、と他の人間なら聞き返しそうな三蔵の言葉の欠片を、だが悟空はしっかりその中に込められた愛するの願いを汲み取った。
「わかった! 三蔵専用の湯たんぽだねっ?」
思わず口をついて出た己の言葉に羞恥で顔を真っ赤に染めた三蔵だが、最愛の人から添い寝のお達しを受けたお猿は、木どころか天にも昇ってしまいそうな程の喜びようだ。
一ン日中でもあっためてあげるよっ! と喜色満面で叫ぶ悟空を、
「まずはさっさと、他の用事を果たしてきやがれっ!」
と枕を投げて部屋から追い出すと、三蔵はそのまま頭から毛布をすっぽりと被って不貞寝を決め込んだ。
(疲労の原因に向かって、何を言っているんだ、俺はっ?)
まるであれでは、悟空に傍にいて欲しいと言っているようなものではないか。いや、事実そうなのだが、三蔵自身それを認める事は、己のプライドにかけてもできはしない。
てはあの甘ったれな猿がいけない。これ以上悟空の甘やかして大きな顔をさせたら、近い将来手がつけられなくなる、と一端の保護者めいた事をぶつくさと布団の中で呟き、なにもかも悟空が悪いと自分に言い聞かせていた三蔵は、遠くから聞こえるやけにか細い悟浄の悲鳴と、続けてバタバタと廊下を踏み外んばかりの勢いでこの部屋に向かって再び駈けてくる悟空の足音に、再びそっとため息をついた。
「河童をのした後は、風呂とメシだ。それが終わるまで、添い寝は無しだからな」
さんぞー、悟浄やっつけてきたよ―――っ! 添い寝―――っ! と、扉を開けざまに叫ぶであろうペットに返す言葉を、頭の中でもう一度しっかりと反芻しながら。
おわり
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